当ページはお子様が射撃を始めるにあたり、重要なお話しが含まれております。

それは健康面の問題や法律の問題で銃が持てない可能性が存在するというお話や、
競技を続けるにあたって保護者の方も知っておかないといけない事です。

射撃は最高に楽しいスポーツです。
お子様の将来を考えられている方は是非、最後まで目を通して頂ければと思っております。

目次
1 銃刀法における欠格事由について
2 銃刀法における絶対的欠格事由 (本人の問題)
3 銃刀法における相対的欠格事由 (一緒に住んでる人や環境の問題)
4 猟銃・保管設備についての欠格事由
5 銃刀法違反の事例と注意点
6 SNSや写真の取り扱いについて

銃刀法における欠格事由について

日本は法治国家であり、本来銃器というものは日本において『銃刀法』で厳しく示されています。
銃刀法に明記されている銃を持つ資格に欠ける事由というのが『欠格事由』です。
せっかくライフル射撃競技にご興味を持っていて、スタートをしても、
ビームライフルからエアライフルへ競技のステップアップが出来ない可能性が出てきてしまいます。

銃所持における欠格事由
絶対的欠格事由  該当する人は猟銃の所持が認められません。

相対的欠格事由  該当すれば猟銃の所持が認められない「場合もあります」。

猟銃・保管設備についての欠格事由

銃刀法における絶対的欠格事由

銃刀法における絶対的欠格事由は18項目あります。

  1. 未成年者
    日本国の法律では空気銃は18歳から所持が可能です。未成年は所持できません。

    ですが、年少者射撃資格という制度を使って10歳から競技することも可能です。
    年少射撃資格制度とは、指導者の所持する指導用空気銃、指導用空気けん銃を使用して、
    競技会参加、練習を行う制度で、満10歳~18歳未満の年少者が対象となっています。

    ※詳細:日本ライフル射撃協会
  2. 破産者で復権していない者
    裁判所で破産手続開始決定を受けた人が該当します。
    銃という特殊な物を扱う関係上、本人の経済状況は加味されてきます。
  3. 精神障害や認知症などの特定の病気の者
    銃刀法では安全を最優先させる原則上、特定の疾患をすでに診断を受けている場合や、
    狩猟免許や猟銃所持許可の申請時に取得する医師の診断書に書かれると所持許可はおりません。

    統合失調症、躁うつ病(双極性障害)、てんかん、認知症などの病気と診断されている方を含めて
    精神科の通院歴などがある場合は許可されないケースが多いです。
  4. アルコール、あへん、麻薬、大麻などの中毒者
    薬物は犯罪ですが、アルコールに関しても同様に欲求が抑えられる理性的な人間であるかどうか精査されます。
  5. 是非弁別能力、判断能力に問題のある者
    自分自身が正しい判断ができない、正しい判断で行動できない人は許可されません。
    前項の3と4に通じる部分ではあります。
  6. 住所が定まっていない者
    銃は保管する場所について厳しく管理されており、本人の安全管理と所轄警察署の場所の把握が必要になります。
    その住所がない人では許可がでることはありません。
  7. 所持許可の取消処分を受けて許可を取り消され、その日から5年が過ぎていない者
    違反などの理由で銃の所持許可の取り消し処分が下った場合、5年間を経過しないと再所持は出来ません。
  8. 所持許可の取消しの聴聞会の期日・場所が公示された日からその処分をする日または処分をしないことを決定する日までの間に、その処分にかかる銃砲または刀剣類を他人に譲渡し、その他自己の意志に基づいて所持しないこととなった日から5年を経過していない者
    銃の所持許可を取り消されそうになった際に、他人に譲り渡すなどの取消処分を逃れようとした場合、その時点から5年間は猟銃を持てません。
  9. 年少射撃資格の認定を取り消された日から5年を経過しない者
    年少射撃資格の認定の取り消し処分を受けた日より5年間は銃を持つことができません。
    ※年少射撃資格については前項『1.未成年者』をご確認ください。
  10. 禁固以上の刑に処せられた人で、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
    銃を使用した犯罪などではなくても、禁固刑以上に処せられた者は5年間を経過しない方は銃は持てません。
  11. 銃刀法違反、火取法違反で罰金刑以上の刑に処せられて、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
    銃刀法や火取法(火薬類取締法)の違反をしてしまうと、『罰金刑』以上で5年間は銃は持てません。
    前述の禁固刑よりも罰金刑の方が罪の重さとしては軽いとされていますが、銃刀法や火取法での違反の場合は厳しい処分が下されます。
  12. 人の生命・身体を害する罪または銃砲刀剣類などを使用してこれら以外の凶悪な犯罪を犯して罰金刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから5年を経過していない者
  13. ストーカー防止法による警告・命令を受けた日から3年を経過していない者
  14. 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護などに関する法律による命令を受けた日から起算して3年を経過していない者
  15. 手段的または常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者

    重犯罪者や犯罪傾向のある人物には許可はおりません。
  16. 他人の生命、身体もしくは財産もしくは公共の安全を害し、または自殺をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
    『3.精神障害や認知症などの特定の病気の者』の項でも触れているように、自殺の可能性がある方には許可がおりません。
  17. 人の生命・身体を害する罪や、銃砲刀剣類などを使用してこれら以外の凶悪な罪で政令で定めるみに当たる違法な行為をした日から起算して10年を経過していない者
    殺人罪や傷害罪、銃や刃物で凶悪な事件を犯した者は10年間は銃の所持を認められません。
  18. 所持許可の申請書や添付書類中の重要な事項について虚偽の記載をし、または事実を記載しなかった者
    提出する文書などに虚偽申告があった場合、許可はおりません。
    そのまま許可が降りてしまった場合は取り消し処分など重い罰となります。

銃刀法における相対的欠格事由

相対的とは一緒に住んでいる人が上記の絶対的欠格事由に該当するような人の場合を指しています。
本人の問題ではなく、ご家族(同居親族)の問題になってきます。

自分自身が絶対的欠格事由に該当しなくても、同居人が絶対的欠格事由に該当していれば、
その家に銃が保管されている場合は危険であると判断されます。

同居をしている人 (家族や同居人) に精神疾患を患っている方や犯罪傾向にある方、
過去に重犯罪を起こしている方がいる場合は銃の許可はおりません。

ただし、これはあくまで相対的欠格事由なので、
本人に問題がない場合は、銃砲店や射撃場などの外部での保管などにおいて許可が降りるケースもあります。
許可の判断については、各都道府県警察の公安委員会が行っているので、
もし困ったらお住まいの所轄警察署の生活安全課の担当の方に問い合わせましょう。

猟銃・保管設備についての欠格事由

銃は、日本の法律(銃刀法)において許可されたものしか使用することはできません。
日本国内では競技用の銃も狩猟用の銃も同じ法律で管理されています。
また、銃を保管する設備についても厳密に指定されています。
これらに反した場合、『猟銃所持における相対的欠格事由』に該当したということになります。

猟銃所持における相対的欠格事由
 1.変装銃
  一見すると銃だと分からないもの、分からない外装をつけている銃は禁止です。

 2.機関部、銃身等に著しい欠陥のある銃
  故障している銃や銃身が曲がってしまっている銃は禁止です。
  アクシデント等で故障があった場合は銃砲店に相談しましょう。

 3.連続自動撃発式の銃
 4.構造の一部として6発以上の実包または金属製弾丸を装填できる弾倉のある銃
 5.口径の大きすぎる銃
  日本国内でスポーツを目的として販売されている銃にはございませんが、
  あくまで知識として留めておいて頂ければと思います。

 6.銃の全長または銃身長が規定より短い銃
  

 7.構造の一部として消音機能がある銃
 

 8.保管設備がない

銃刀法の事例と注意点

※注意
現在の法律や法令において一般的な見解を示したものですが、
都道府県や所轄、裁判官によって判断が異なる場合があります。

Q. 家族や友人の銃を触ってもいいの?

A.家族や友人に運ぶのを手伝ってもらうことは違反となります。
銃は常に自分の管理下に置くことが義務付けられています。
第三者に触らせて万一持ち去られることがあってはなりません。
銃器に触れることはもちろんの事、例えば銃砲検査で複数の銃を所持していて一度に持ち運びできない場合などでも、
本人以外が触れることは違反となります。
台車を用意したり複数収納できるガンケースを用意したりなどの措置をしてください。
また、分けて運ぶために車のトランクに一部を残したまま車を離れることも違反となりますのでご注意ください。


Q. ガンロッカーの鍵は家族で管理すべきですか?

A. 家族も含め誰にも知られないように所持者本人が管理してください。



Q. 銃を運搬中にコンビニに立ち寄りたい

A. 銃を運搬中に必要な食糧の購入や用便等で車両を離れる場合には銃の携帯が原則ですが、
置いたまま車両を離れざるを得なくなった場合は盗難防止措置を十分に取り、
自己管理下として是認される最低限の時間や距離や状況としてください。
例えば「出入口近くの店内からよく見える場所に停め、見張りを置き、最短時間で済ませる」等です。

また、銃の使用目的に不必要な立ち寄りは違反となる場合がありますのでご注意ください。
※参考:狩猟等のため車両で移動する際における猟銃等の携帯、運搬及び保管に係る留意事項について(通達)


Q. 銃保管設備のない施設に宿泊できる?

A. 銃の保管設備のない施設に宿泊する場合は保管庫への保管が免除されますが、
 その場合は居室の施錠等に加え以下のような盗難防止措置を十分に講じてください。
  ・ 銃を施錠したケースに入れ、押入れ等の目立たない場所に毛布等をかぶせて保管する
  ・ 先台等の重要部品を取り外し、銃とは別に(例えば貴重品ロッカー等に)保管する

注意: 車両に銃を置いたまま宿泊してはいけません(保管場所と認められないため)。
    重要部品を外しても容易に復元できる場合は盗難防止措置にはなりません。
    実包は銃とは別にして携帯するなどの安全措置を講じてください。
※参考:狩猟等のため車両で移動する際における猟銃等の携帯、運搬及び保管に係る留意事項について(通達)


Q. 銃を運搬中に事故で救急搬送されたら?

A. 銃を車両で運搬中に事故や急病で救急搬送される等止むを得なくなった場合は、
可能な限りの盗難防止等の措置を講じてください。
同乗者や居合わせた人は速やかに最寄りの警察署に届け出て、
当人の銃や実包の管理について警察官の指示に従ってください。

※参考:狩猟等のため車両で移動する際における猟銃等の携帯、運搬及び保管に係る留意事項について(通達)


Q. 突然警察官が銃を確認したいと訪問してきましたが?

A. 公安委員会は必要に応じ警察官に銃や実包の保管場所に立入検査をさせることができますが、
過去に警官の身分を装い銃を奪おうとした事例がありました。
警察職員は立ち入りの際には関係者に事前に連絡をし、身分証明書を提示することになっています。
少しでも不審に感じた場合は所轄に電話などで再確認し、身分証明書の記載内容まで確認してください。


Q. 銃を自分好みに改造したいのですが?

A. 銃床や銃身を切り詰めたり取り替えたりして全長や銃身長が変わった場合は届出が必要です。
また、同じ銃とは認められないほどの改造については許可証の再交付の申請が必要になります。
自分で改造して許可が下りない場合もありますので必ず銃砲店にご相談ください。
また、装弾数を法律で認められている以上に増やしたり規定以下に銃身を切り詰めるなどの違法な改造は認められません。


Q. 空き地や庭で試射できますか?

A. 法律で禁止されています。試射、照準合わせなども必ず公安委員会の指定射撃場にて行ってください。
猟場においても狩猟目的以外での発砲は認められません。
発砲できる場所や条件には様々な制限がありますので充分にご注意ください。


Q. 銃を所持している家族が亡くなりました。

A. 銃や保管庫には触れず、直ちに銃砲店か所轄警察署に連絡してください。
銃砲店では(銃の状態により)他の方に譲渡されますが、警察署の場合は廃棄処分となります。
銃の所持者が死亡した場合、家族、同居者、家主、地主、家屋、土地の管理人は、
死亡を知った日から10日以内に許可証を返納し、銃を処分する義務があります。
ただし遺族は50日以内に所持許可を受ければその銃を所持することが可能です。


Q. 銃所持者とトラブルになり銃を持ち出されそうで怖いです。

A. 最寄りの警察署や交番に相談してください。
市民に危害が及ぶことがないように、警察では銃を一時的に取り上げたり(仮領置)、
所持許可を取り消したりすることができます。

参考サイト:青葉銃砲安全協会 様  https://www.aoba-fss.org/

SNSや写真の取り扱いについて

お子様が射撃競技を始めると『銃』という特別なものが、身近になります。
日本国内における銃は、お金を出して買っているものではありますが、
あくまで公安委員会の許可で持たせて貰っているものという認識を持って
取り扱いには細心の注意を払わなくてはいけません。

昨今、どなたでも全世界に向けて発信ができるソーシャルネットワークサービス(以下、SNS)は
自己表現や人との繋がりの為のツールとして、親世代も子供世代もみなさんが利用しています。

SNSは人生を豊かにするツールの反面、ある程度のリテラシーがない場合は
危険のリスクも孕んでいるところは周知の事実ではありますが、
射撃競技においても、指摘されて問題になってしまう場面は多々あります。

①射撃場・銃砲店以外での銃器の写真
 
 銃の手入れ等の理由で所持者本人が写真を撮る等は理由として正当ですが
 インターネット上へのアップロードの目的が不明瞭な場合、不用意なアップロードは控えましょう。

②試合の前後の移動中などの写真
 銃器の運搬は保管場所から射撃場での練習や試合、銃砲店や警察への運搬などの目的がある場合で許可されています。
 風景や宿舎の写真はどこに銃があるかをアピールしてしまうことになってしまいます。
 銃器を持って運搬しているということを自覚して、不用意なアップロードは控えましょう。

銃器を所持しているということは日本国内において特別なもので、
競技を知らない方にとっては「危ない物」として認識されるのは当然のことです。
法律についてはしっかりと理解して、正しい運用方法で取り扱い頂ければと思います。

参考事例
SNSで銃を見せびらかす選手に長期出場停止処分の可能性https://news.yahoo.co.jp/articles/79f5d53cec6a49d76693a08475436bdd66cd5f6b?source=sns&dv=pc&mid=art08t1&date=20230713&ctg=spo&bt=tw_up